診療のご案内
耳
- 急性中耳炎
- 鼻から中耳に入り込んだ細菌が原因となって炎症が起こります。お子さんは風邪や鼻水がきっかけで中耳炎になりやすく、放置していると慢性中耳炎や滲出性中耳炎になる恐れがあります。特に小さなお子さんの急性中耳炎はしっかりと治療を行い完治しておかないと、その後も中耳炎を繰り返す原因となりますので注意が必要です。
- 滲出性中耳炎
- 急性中耳炎が長引いて鼓膜の内側に液体がたまっている状態です。難聴の原因にもなります。急性中耳炎と同じくお子さんがかかりやすい病気です。お子さんの場合は難聴等があっても周囲の大人に伝えてくれないことがあり、発見が遅れることがあります。
滲出性中耳炎を放置すると手術が必要な中耳炎に移行する例もあるため、お子さんの反応が普段よりにぶかったり聞こえにくそうな様子があれば、早めの耳鼻いんこう科の受診をおすすめします。 - 外耳炎
- 外耳道(耳の穴)の皮膚に感染や炎症が起きることを外耳炎と言います。耳掃除をしすぎたり、耳をいじることが癖になっているような方によくみられます。主に点耳薬や塗り薬で治療しますが、少し良くなってきた頃に再度いじってしまって悪化してしまう方も少なくありません。気になってしょうがないというお気持ちはわかりますが、なるべくさわらないように注意してください。
- 耳垢栓塞
- 耳あかがたまって耳の穴をふさいだ状態です。病気ではありませんが、難聴や耳閉感の原因となります。耳掃除や入浴の後に突然症状が生じた場合は耳垢栓塞が疑われます。お子さんでは学校検診で指摘されることも多いですが、自宅で除去するのは難しい場合も多いため、「耳あかぐらいで病院なんて」と思われずに受診していただくことをおすすめします(除去した後に耳の奥や鼓膜の病気の有無を確認することも大切です)。
- 突発性難聴
- ある日突然聴力が悪化する病気です。難聴の程度は様々で、まったく聞こえなくなる人もいれば比較的軽度の人もいます。軽度の方は日常会話に必要な音は聞こえているため、難聴に気づくのが遅れてしまいがちです。
また、難聴の発生と前後して、耳閉感や耳鳴り、めまい等を伴うことも多く、耳鳴りやめまいで受診したら突発性難聴だったという人もいます。発症後早期に治療を受けないと難聴や耳鳴りが残ったり、聴力を失ってしまうこともあるため早めの受診と治療開始が大切です。 - メニエール病
- 耳鳴りや難聴、めまいの発作を繰り返す病気です。原因ははっきりとはわかっていませんが、疲労や不眠、ストレスなどが引き金となって内耳のリンパ液が過剰になると症状が起きてしまいます。発作の間隔は様々で、頻繁に繰り返す場合もありますが、何年も無症状のこともあります。
- 良性発作性頭位めまい症
- めまいで当院を受診される患者さんでは最も多い病気です。寝返りや起床時の際に特定の頭の位置をとることによってめまいが生じます。めまい自体は数十秒から長くても数分程度と比較的短く難聴や耳鳴りも伴いませんが、同じ頭の位置をとると再びめまいが誘発されるのが特徴です。
鼻
- アレルギー性鼻炎
- 鼻水、鼻づまり、くしゃみといった諸症状で非常に多くの方がお困りの病気です。近年ではお子さんでも珍しくありません。いわゆる花粉症以外でもダニやハウスダストが原因となる通年性アレルギー性鼻炎も問題となっています。特にお子さんではアレルギー性鼻炎が喘息を発症するきっかけとなることもあります。お子さんの鼻水では鼻かぜとの区別が難しい場合もありますが、長引く場合はアレルギー性鼻炎を疑う必要があります。
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 汚い鼻水や鼻づまり、鼻内の悪臭や頭痛(頬や眼の奥の痛み)といった様々な症状がみられる病気です。風邪や細菌感染、アレルギー等がきっかけで鼻の中で炎症が起きて鼻周辺の副鼻腔と鼻の間にある通り道が狭くなると、副鼻腔に鼻水や膿がたまってしまい副鼻腔炎となります。
また、鼻腔から喉に鼻水や膿が流れ込むことで咳や痰の原因となることもあります。治療には抗生物質や抗アレルギー薬の内服や鼻内の処置、薬剤の吸引を行いますが、慢性副鼻腔炎では治療に2〜3ヶ月かかることもあります。なかなか良くならない方や再発を繰り返す方では手術をおすすめすることがあります。 - 鼻出血
- 鼻血はお顔をぶつけたり、強く鼻をかんだり、のぼせてしまったりといった拍子に日常でよくみられます。多くの場合は小鼻の辺りをつまむ程度で止血でき、特に問題になることはありません。
しかし、大量の鼻血やいつまでも止まらない鼻血、日常的に繰り返す鼻血等の場合には鼻の腫瘍や出血が止まりにくい病気の恐れもあります。慌てず落ち着いて止血処置を行うとともに、それでも出血が止まらない場合は耳鼻いんこう科や救急を受診しましょう。 - 鼻内異物
- 耳鼻いんこう科で扱う異物摘出は鼻だけでなく、のど(魚の骨)や耳(虫や水、髪の毛等)があります。
大抵はすぐに受診されますが、小さなお子さんの鼻の異物(ビーズやおもちゃの部品が多いです)だと周囲の方が気づかれていないことがあります。その結果、鼻の悪臭や口臭といった症状がみられるために、耳鼻科ではなく小児科や歯科を受診されている方もいらっしゃいます。当然異物を摘出しない限り症状は改善しませんので、お子さんの鼻周囲の悪臭や汚い鼻水(片側のみ)がみられる場合は、異物の可能性も疑ってみてください。 - 嗅覚障害
- 新型コロナウイルス感染症の症状や後遺症として問題となっている嗅覚障害ですが、認知症の初発症状としても注目されています。においが嗅粘膜に届きにくくなる閉塞性の嗅覚障害や、嗅神経そのものが傷害されてしまう嗅神経性嗅覚障害、脳腫瘍や頭部外傷よる中枢性嗅覚障害に大別されます。
当科では閉塞性と嗅神経性の嗅覚障害がほとんどで、味覚障害を伴う方もよくみられます。視覚や聴覚の障害ほど日常生活への影響がないからか、症状を自覚されてから受診されるまで長期間経過している方もみられます。特に嗅神経性の場合は、より早く治療を開始することで症状の改善が期待できますので、においや味が気になる方はなるべく早めに受診なさってください。
のど
- 急性扁桃炎
- のどの痛みと発熱を主な症状とする、いわゆる扁桃炎です。炎症がひどいと痛みのために食事がとれなくなってしまうこともあります。
治療として抗生剤の内服や点滴を行いますが、食事や水分摂取が不十分な場合は入院が必要なこともあります。炎症が周辺に拡がって扁桃腺の周囲に膿が溜まってしまう「扁桃周囲膿瘍」となってしまうと、扁桃腺の脇を切開して膿を出す必要があります。発熱を伴う扁桃炎を年に数回繰り返す方には扁桃摘出術をお勧めしています。 - 声帯結節/ 声帯ポリープ/
ポリープ様声帯 - 喉の奥にある声を出す部分である声帯に生じる病気で、かすれ声の原因になります。多くは声の使いすぎや声の使い方が原因です。そのため、声をよく使う職業の方(教師や保育士、介護士等)や大きな声で話すお子さんに多くみられます。
治療には声の安静(なるべく喋らない)や消炎剤の投与を行いますが、なかなか改善しない場合は手術をお勧めすることがあります。まれに喉頭癌が原因で声がかすれることもありますので、特にヘビースモーカーの方は注意が必要です。 - 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。家族にいびきを指摘されている方で夜間によく目が覚める、起床時に体がだるい、眠っているはずなのに日中も異常に眠くなる、といった症状のある場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
この病気は将来的に脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまうため、早期に診断し治療を行うことが重要です。治療にはマスクに機械を取り付けて睡眠時に空気を送り込むCPAP(シーパップ)療法が一般的ですが、鼻やのどの治療で状態が改善することもありますので、一度耳鼻科も受診していただければと思います。